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日本の外からは遅すぎるグローバルWebサイト

2025年の働き方を提示した『ワーク・シフト』の著者リンダ・グラットンは、  未来を形づくる5つの要因として、1. テクノロジーの進化、2. グローバル化の進展、3. 人口構成の変化と長寿化、4. 社会の変化、5. エネルギー・環境問題の深刻化 をあげています。今から 11 年後の未来を予測した非常に興味深い本です。東京オリンピック開催の5年後となる 2025年も、インターネットなしでは考えられない世界になりそうです。

 

多くの企業がグローバルでビジネスを行っていますが、残念ながら、その企業がグローバルに発信するコーポレートWebサイトは満足できるユーザー体験を提供しているとは言えません。下図は最近私が関わった国内企業8社のグローバルWebサイトに対して世界40拠点から計測したパフォーマンス結果(平均値)となります。 

HowJapaneseSiteBadPerformance.png

日本国内では遅延を感じない速さとなっていますが、その他の国ではトップページを表示するのに2秒以上費やし、ほとんどは許容出来ない速度となっています。光ファイバーを使ったインターネットの速度には限界があります。光の速度は30万キロメートル毎秒です。光ファイバの伝播速度が光の2/3なので、光ファイバの速度は20万キロメートル毎秒になります。そして、遅延は距離に比例します。例えば、大阪、バンコック、フランクフルトから東京までの距離はそれぞれ直線距離で 460km, 4,600km, 9,300km となります。光ファイバーを使った東京までの往復時間 (RTT) はそれぞれ 2.3 msec, 46 msec, 93 msec となります。現実には直線で光ファイバケーブルが引かれることはなく、実測値では大阪から 10 msec、バンコックからは 100~120 msec、フランクフルトからは 210~290 msec と、直線での論理値よりも 2 〜3倍かかります。実測値ベースではフランクフルトは大阪よりも20 倍以上も遅いです。単純に計算すると大阪で 1 秒で表示するページがフランクフルトでは 20 秒かかることになります。ラストマイルのネットワーク状況やブラウザの処理速度にも影響されるので結果はその都度変わりますが、インターネットから数メガバイトの PDF ファイルをダウンロードするだけのテストではこれ以上の時間差を体感するケースがほとんどです。

 

日本はインターネット環境が比較的良いため、インターネットの遅延を感じないかもしれません。しかし、米国や豪州の企業は日本よりも広い大陸の範囲をビジネスとしているため、日本企業よりもインターネットの遅延について敏感です。製品の紹介や広告はインターネットにシフトしており、遅延はページビュー数を下げ企業価値を下げるものと考えられています。遅延をなくすには距離を短くし、インターネット内を高速化する手法を取らざるを得ません。そのため、多くのグローバル企業は CDN を採用しています。CDN を採用している欧米企業は世界中どこでもほぼ同等の速度でページを提供しているのに対し、CDN を採用していない国内企業のページは満足できるとはいえない応答速度であるのが現状です。下図はある国内企業とその競合となる米国企業の速度比較です。2つの会社ともグローバルでビジネスをしていますが、Web に関しては完全に国内企業は敗退しています。

ComparisonBetweenJapanandAmerican.png

このような状況を見ないと改善しないジェネレーション・ギャップの課題もありそうです。『ワーク・シフト』にも書かれていますが、ベビーブーム世代(1945-64)と言われている方々が多くの国内企業の幹部となっています。この世代はインターネットがない時代に育ち、遅延しても待てるという落ち着いた考えを持っています。一方、これからの Y 世代 (1980-95)やデジタル・ネイティブと言われるZ世代 (1995-) はインターネットやモバイルが当たり前で、遅延は耐えられません。ちなみに私はX世代(1965-79)で、アナログもデジタルも両方体験できた貴重な世代です。2025年には Z 世代の新入社員もいます。2025年には CDN を採用していないグローバル Web サイトはほとんどないかもしれません。

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